1) スポーツでケガをしたら、痛めたら・・・
2) ケガをしたときの応急処置
- RICE療法の実際 -
3) どんな時にスポーツ医にかかればいいのか?
4) 知っておこう!熱中症!
5) 今、スポーツで子どもが危ない!
整形外科は、骨、関節、筋肉、軟骨、腱、神経・・・といった運動器と呼ばれる身体の仕組みのケガや病気を扱います。
医学のなかでもスポーツやスポーツ医学ととりわけ関係が深い分野が整形外科です。
スポーツによるケガ(傷害)には大きく分けて2通りありあす。
●スポーツ外傷 : 転んで打撲した、ジャンプして捻ったといったいわゆるケガ(外傷)のことです。
例)突き指、打撲、捻挫(靭帯損傷)、骨折・・・などです。
●スポーツ障害 : 何度も同じ動作を繰り返すことによって生じる故障で、いわゆる使いすぎによるものです。
例)テニス肘、アキレス腱炎、オスグッド病、野球肘・・・などです。
スポーツでケガをしたら、痛めたら、スポーツ医にかかりましょう!
スポーツ医と各分野の専門医の連携により、スポーツによるケガの診断、治療、予防、リハビリテーションに対して、より積極的に取り組むことができます。
スポーツ医とは、スポーツに理解を示し、スポーツ医学に関する十分な知識を有し、スポーツに関連した医学的な問題を意欲的に解決していこうとする医師です。
現在、スポーツ医制度には、
日本体育協会公認スポーツドクター
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本医師会健康スポーツ医
の3つの制度があります。
突き指、捻挫、打撲、肉離れなどと思われるケガに対して、RICE(ライス)と呼ばれる方法で行います。
正しく確実に行うと、痛みと腫れを抑え、治癒が早く、スポーツへの早期復帰も期待できます。
ケガの部位に変形がみられる場合、脱臼や骨折が疑われので、冷却と固定のみを行い、直ちにスポーツ医にかかりましょう!
RICE療法の実際を説明します。RICEとは英語の頭文字をとったものです。
☆ R(Rest、レスト、安静)
ケガをしたところを安静にします。
さらに損傷が加わらないように、副木、三角巾、弾性包帯などで固定します。
☆ I(Ice、アイス、冷却)
痛みを軽減させる、内出血を防ぐ、炎症を抑える目的で冷却します。
コールド・スプレーや水などは一時的にはよいですが、長時間冷やす必要があるので、氷 が適しています。直接氷を当てると凍傷を引き起こすことがあるので、ビニール袋に氷を入れて、タオルにくるんで患部に当てます。
冷却は、ケガをしてから24~48時間断続的に行うことが望まれます。睡眠中は中止してもかまいません。
☆ C(Compression、コンプレッション、圧迫)
治癒後の機能障害の原因となる内出血と腫れを防ぐことが目的です。
弾性包帯、テーピングを使用して、患部を強く圧迫、固定します。
かなり強く圧迫するので、血流が悪くなり、さらに神経も圧迫されるために、手足、指の色が蒼白になったり、しびれてきます。その場合は、いったん圧迫をゆるます。色が十分元にもどり、しびれがなくなれば、再び圧迫します。
冷却も同様に繰り返します。
☆ E(Elevation、エレベーション、挙上)
患部を心臓より高くしておくことで、内出血を防ぎ、しかも痛みも軽減します。
スポーツでケガをした! どうしよう!・・・スポーツ外傷
まずRICE療法! 応急処置が終わったら、
1)動けるか? 動かせるか? 立てるか? 歩けるか? シビレなどはないか?
2)痛みは強いか? だんだん強くなっていくか? ガマンできそうか?
3)変形しているか? 腫れてきたか? 黒ずんできたか?
など、ケガの状態を自分でチェック!
1)すぐにスポーツ医に診てもらった方がいい場合は・・・
☆応急処置後も強い痛みが取れない、変形している、動けない、動かせない、立てない、歩けない、ますます腫れてきた場合。
☆応急処置後に痛みが軽くなったが、動く、立つ、歩くのに支障がある場合
☆応急処置後に痛みが軽くなって1~2日様子を見たが、痛みが増した、腫れがひどくなった、皮下出血がひどくて黒ずんできた場合
2)緊急を要しないがスポーツ医に見てもらった方がいい場合・・・
☆数週間たっても痛みが残ってる、スポーツ活動中に痛む場合
3)その他、不安なことがあればスポーツ医にかかりましょう!
痛みや具合の悪さが長く続いている!・・・スポーツ障害
明らかなケガ(捻った、打撲した)がないのに、スポーツをすると肘、肩、膝、腰、足などが痛い。
最初はガマンできる程度の痛みで、スポーツもできたのに、痛みがだんだん増してきて、スポーツに支障が出てきた。
しばらくスポーツを休むと痛みは楽になるが、再開すると同じ。
だんだん日常生活にも支障が出てきた。
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痛みの原因は、スポーツのしすぎ(使い過ぎ症候群、オーバーユース症候群)です。
特に成長期の子供の幼弱な骨、関節などに小さなキズができた場合にみられます。
キズが小さいうちはスポーツを控えることや安静で直ります。
無理をしてスポーツを続けていると大きなキズを残し、スポーツをやめてからでも大人になってからでも、痛みや関節の動きが悪いといった障害を残します。
安静や、スポーツの練習時間、練習方法のチェック、状態に応じた練習メニューの作成で改善します。
痛みのなかには、スポーツ以外で起こる場合もあるので、スポーツ医を受診し原因を調べることが望ましい。
熱中症とは、体の中と外の"あつさ"によって引き起こされる、様々な体の不調のこと。
体温を維持するための生理的な反応より生じた体の失調状態から、全身の臓器の機能不全に至るまでの、連続的な病態です。
・熱波により主に高齢者に起こるもの
・幼児が高温環境で起こるもの
・暑熱環境での労働で起こるもの
・スポーツ活動中に起こるもの
などがあげられます。
スポーツなどにおいては、一時増加傾向にあり、その後減少に転じましたが、下げ止まりのような状況になっており、依然、死亡事故が無くならない状況にあります。
熱中症というと一般に「暑い環境で起こるもの」という思いこみや誤解があります。
スポーツや活動中においては、体内の筋肉から大量の熱を発生することや、脱水などの影響により、寒いとされる環境でも発生します。実際、11月などの冬季でも死亡事故が起きています。
また、運動開始から比較的短時間(30分程度から)でも発症する例もみられます。
熱中症の予防対策
・熱と日光に長時間さらされないよう注意しましょう。
・汗をかいたら水分と塩分を補給しましょう。
経口保水液が有用です。
・蒸し暑さ、急な暑さは危険度が倍増します。
・スポーツや炎天下での労働では、水分補給が必要です。
・エンジンを止めた車内には、短時間でもとどまらないようにしましょう。
・ちょっとでもおかしいと思ったら、我慢せずにすぐ医療機関へ行きましょう。ね
熱中症対策の参考になるリンク集
熱中症、熱射病、日射病のホームページ
財)日本体育協会 熱中症を防ごう!
熱中症を予防しよう 大塚製薬